呟き(ずっと仮題)

悪巧み

 ある日の暮方の事である。一人の下人《ターゲット》が、電車の前で人を待っていた。
 狭いドアの前では、この男を気に留める者は誰もいない。ただ、所々|丹塗《にぬり》の剥《は》げた、大きな円柱《まるばしら》に、忠犬《はちこう》が一匹たたずんでいる。
 

 ・・・


「同期が、仕事関係、男女関係等々で非常に落ち込んでいる。彼女を励ます会を開こう!」
その集まりに参加するためだった。

忠犬の前で待つ下人に、2通の手紙が届いた。



「30分ほどおくれます」


「渋谷に着ていく服がない・・・」



下人は後に語った「あの時は、二人とも死ねばいいのにと思った」と・・・。

そこに、ただ一人時間に間に合った男が到着。
男は、「行きたかった店の内一件に行ったところ、店が一杯だったのでもう一件の方に行こう」と告げ、下人に二枚の地図を渡した。
忠犬の佇む街に不慣れな男に代わり、下人は地図を頼りに店へと歩き出した。


怪しいボロボロのビルの中に、キャバクラのような外観。
そこが。。。目的地の店だった。


下人「誰から教えてもらったんだ・・・?」
男「会社の先輩」
下人「その人は、ナンパな方だな」
男「激しく同意」


といった会話を交わしつつ、店の中へ。
二人は個室に通された



下人が個室に入った瞬間、乾いた音が鳴り響いた。



下人は、地面にへたり込んだ・・・・。



それは、音に驚いたからではなく、もちろん凶弾に倒れたからでもない。自分が一杯食わされたのを理解したからだ。



モールや風船で飾り付けられた部屋。
その中で、円錐形の発音器を持ち立っているのは、先ほど遅れるとメールを送った二人。
鳴り響くは、誕生を祝福する歌声。

その男は、泣くでも怒るでもなく、ただ、そこに複雑な笑顔を浮かべながらへたり込んでいた。



その後は、お酒(ネーム入りシャンパン!)飲んで、ご飯食べて、ケーキ食べて、プレゼント渡して・・・普通に楽しく過ごしましたとさ(決してブログを書くのが面倒くさくなったわけではない)。



下人曰く、「当日までは、誕生日の前日だしそういうこともあるんじゃないかと思っていたけど、直前で遅刻メールが入ったりで、こりゃねーわ・・・って思ってしまった。今となってはそれが悔しい」

「サプライズあるいは嬉しさの大きさは、微分値の大きさによって決定される。」という理論のもと、一度落としてから喜ばせる作戦は大成功でした。





エピローグ

 私は、その男の写真を三葉、見ている。
 一葉は、その男の、青年時代、とでも言うべきであろうか、三十歳前後かと推定される頃の写真であって、その男が大勢の女のひとに取りかこまれ、(それは、その男の同僚たち、それから、店の店員《女性》かと想像される)個室のソファーに、とんがり帽子(ぼうし)をかぶって座り、首を三十度ほど左に傾け、醜く笑っている写真である。醜く? けれども、鈍い人たち(つまり、美醜などに関心を持たぬ人たち)は、面白くも何とも無いような顔をして、「楽しそうな誕生日ですね」
 といい加減なお世辞を言っても、まんざら空(から)お世辞に聞えないくらいの、謂(い)わば通俗の「楽しさ」みたいな影もその男の笑顔に無いわけではないのだが、しかし、いささかでも、美醜に就いての訓練を経て来たひとなら、ひとめ見てすぐ、
「なんて、いやな男だ」
 と頗(すこぶ)る不快そうに呟(つぶや)き、毛虫でも払いのける時のような手つきで、その写真をほうり投げるかも知れない。
 まったく、その男の笑顔は、よく見れば見るほど、何とも知れず、性的なものが感ぜられて来る。どだい、それは、笑顔でない。この男は、少しも笑ってはいないのだ。その証拠には、この子は、両方の腕を両隣の人間の肩に回して座っている。人間は、肩をまわしたまま純粋に笑えるものでは無いのである。猿だ。猿の笑顔だ。ただ、顔に醜い皺(しわ)を寄せているだけなのである。「皺くちゃ坊ちゃん」とでも言いたくなるくらいの、まことに奇妙な、そうして、どこかけがらわしく、へんにひとをムカムカさせる表情の写真であった。私はこれまで、こんな嬉しそうな表情の男を見た事が、いちども無かった。
 
・・・


[要約]
すっげえ可愛い店員さんと写真撮れて、非常にご満悦の同期。
その写真の表情は、これまでに見たことがないくらい生き生きとした表情で、殴りたくなりました。







ちなみに、さらにその後は、その同期の家に押しかけて、ぐだぐだして・・・みんなで雑魚寝。

と、見せかけて、0時ちょうどに本当の誕生日を祝ってやりましたとさ。





おしまい。





下人=Project 誕生祝の発案者、もといPL(プロジェクトリーダー)だった人物でございます。

何かしら祝ってやろうと思ったのですが、いかんせん奴のことです、何か祝ってもらえると思っているに違いないのです。

――期待に応えるのはつまらない。 期待とは裏切るものだ。――

という共通認識を持つ、同期で集まり、会議を重ねること数回。
日曜日にこのようなミッションを決行したわけです。




余談ですが、次誕生日の奴は、「何もないことがサプライズ。」になりそうな予感。
「この国の何もない平和な日常がサプライズなんだヨ」って、マリアも言ってたし。間違いない。




ところで、前回のメロスじゃないけど、一部文章の元ネタわかるひとがどれだけいるんだろう・・・。
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by judas121 | 2009-04-21 23:52 | 呟き(お仕事系)
ネタにまみれた業務請負会社勤務?の日常(旧題:ユダの呟き)
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 得意な科目は『理科』・『社会』の自称社会派理系。
 理系大学院を出たにも関わらず、何を血迷ったか文系職に。
 血反吐を吐きながら、成長を続けている(と信じている)。

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